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2024 Sep. 12th
Scene 1.  源氏物語は「哀れ者たち」の愛の物語?

●抜け殻の薄衣
 光の君は、ある夜、思いを寄せた美しい女性の寝所に忍び込みます。が、そこにいたのは別人でした。光の君は、彼女が脱ぎ捨てていった薄衣を持ち帰り「空蝉のような・・・」と抱いて離しません。
 一方、すでに人妻だった彼女は「娘時代だったら・・・」と悲しい心を歌に詠むのでした。
●紫式部は「道長妾」
 光る源氏が思いを遂げることのできなかった空蝉は紫式部自身、光る源氏は藤原道長だと解釈されています。
 藤原時代の膨大な系図「尊卑分脈」を見ると、紫式部は「道長妾」と出てきます。
 彼女は道長の愛人たちの一人でした。
 時の左大臣・道長は、源氏物語のスポンサーでした。道長が庭のおみなえしを一枝折って式部の部屋を訪れたこと、当時は高価な薄く漉いた紙や筆、墨、硯などを届けたことが「紫式部日記」に記されています。
●「道長病」は糖尿病
 現代よりも格差の激しい時代でした。食べるにも事欠く平民を尻目に、道長はわが世の春を謳歌していました。
 藤原資実は日記「小右記」で、装束の華美は狂乱の極み、と非難しています。
 食べものも贅沢なばかりか、忠国という大食らいの男を召し抱えて飯6升を食べさせたこともありました。
「小右記」には、「道長病」の文字が頻繁に出てきます。
「目不見事日々増、不可対面於人」(目が見えず相手が誰か分からない)。
 そしてしきりに水を飲むようになります。
 54歳で、突然、剃髪して出家します。
 医師で作家の篠田達明さんはこれらの記述や残された肖像画から、道長は栄養過剰からくる重度の糖尿病だったろうと診断されています。
●「あわれ者」たちの愛と復讐の物語?
 鉄壁の愛の上納システムの頂点で、あまたの女性をむさぼった道長は、糖尿病の醜い入道となってなお権力を持ち続けました。が、物語の光の君は正室の三の宮が犯した不義の子を抱き、最愛の若紫の死を逐うように、突然、52歳で出家し、あっさり物語から消されてしまいます。
 千年の時代を超えて日本人に愛された源氏物語は、傲慢強欲な支配者を愛した才能豊かな「哀れな女性」の、ささやかな復讐を込めた愛の物語、かも知れませんね。

 
光の君に「塩かりんとう」
わっはっは料理教室 木澤智乃

Copilot :
木澤智乃さんは「絶対に失敗しない料理のコツ」という本の監修を務めており、さまざまな料理のコツを紹介しています。
木澤さんはマクロビオティック料理研究家としても活動しており、バースハーモニー美しが丘助産院で料理クラスを開催しています。

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