2009年11月号


おいしい劇場
Scene 1.

マイケルの父ヴィドは、9才でシシリアを追われアメリカへ渡り、エリス島の移民局に3ヶ月間収容された。やがてニューヨーク・マフィアの5大ファミリーのトップに立った。
ゴッドファーザーは糖尿病だった
●友情と裏切り、復讐、そして愛
 甘く哀しく切ないニーノ・ロータの「ゴッドファーザー・愛のテーマ」が流れる中、突然の銃声! ドン・マイケル・コルレオーネとケイの寝室が襲われたのです。
 父の跡を継いでゴッドファーザーとなったマイケル一家の日常は、裏切りと復讐の恐怖の連鎖。ケイは耐えられずマイケルの許を去り、3人目の赤ちゃんを流産して、「もうあなたの子を産みたくなかった」と告げます。
 合法ビジネスへの転換を目指すマイケルは、ランベルト枢機卿との重要な話し合いの席で、糖尿病の発作を起こして崩れ落ちます。
「何か甘いものを!」
 オレンジジュースとキャンディが運ばれました。
「心が痛み、からだが悲鳴を上げている」
 と、枢機卿は懺悔を促します。
「わたしは妻と自分を裏切り、人を殺しました。人に命じて実の兄を殺しました」
 マイケルは告白してむせび泣くのでした。

●生きにくい時代を・・・・
 いま、私たちは、生きることに難しい時代を、心をきしませてひたすらに生きているのだと思います。
 ドン・マイケルとケイは、お互いを傷つけながら生きる男と女の、命と愛のはかなさを語ってくれているように思われます。
 10数年後、歌手を目指した長男がオペラデビューを飾る日、ケイは初めてシシリア島へやってきました。再会したマイケルに、ケイは、「いつもあなたを愛していた。これからも・・・」と涙を見せます。
 優しさが戻ってきました。
 しかし・・・、シナリオを書いたのはコッポラ監督と原作のマリオ・プーゾです。ケイの涙は、男どもの願いだったのかも知れませんね。

●シシリアはスパゲッティの故郷
 シシリアへ1度だけ行ったことがあります。ずっと以前の短い滞在で、記憶もおぼろげですが、スパゲッティの麺の堅さとトマトとオリーブオイルの野生の味だけは、歯と舌が覚えています。
 スパゲッティはシシリアが発祥だと、土地の人はいいます。
 ゴッドファーザーのために、ストレスと糖尿に優しいスパゲッティを、イタリア料理に詳しい木澤さんに作っていただきました。
ドンに捧げるスパゲッティ
糖尿病を意識して、食物繊維の豊富なレンコンとNIPPNローストアマニ粉末、神経を休める蛸を加えボールにし、リノレン酸の多いNIPPNオリーブオイルで揚げました。ソースはイタリア産のNIPPNホールトマトと玉葱とケパーを使いました。木澤智乃(料理研究家)


■後記
 2009年11月号は、「糖尿病」特集。 糖尿病予防のためのレシピが多く紹介されます。「オーマイおいしい劇場」も特集にそって制作しました。
 ゴッドファザーのDVDを全部借りてきて見直しました。やはり凄い映画ですね。
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