2010年6月号


おいしい劇場
Scene 5.

イエスが処刑されたゴルゴダの丘に聖憤墓教会が建てられた。
もし、イエスがふとっていたら
●太っていてなぜ悪い?
 太っていてなぜ悪いんですか?
 女性の美の象徴とされるヴィーナスも、決して痩せてなどいません。だれが一番魅力があるかを競う「パリスの審判」に参加した3人の女性の裸は、いずれも豊かです。ポスト印象派の画家A・ルノアールも豊満な女性を描きました。東洋では見事な太鼓腹を波打たせている七福神の布袋は、富裕を表す福の神とされています。南の海には太った女性ほど美しいとされる島もある・・・。
 いったいいつから、肥満は醜悪で、痩身こそが美ということになったのか、疑問です。

●美のものさしも
 インドの父、マハトマ・ガンジーを見てください。その痩身は高邁な思想を表しています。そしてなにより、エルサレムのライオン門から茨の冠をかぶり十字架を背負ってゴルゴダの丘へ歩んだイエスのやせ細った裸身! いまもヴィアドロローサ(悲しみの道)を行く人々の涙を誘います。
 イエスがもし太っていたら美の基準も変わっていたかも知れないですって? イエスはすべての人々の苦悩と罪を背負っていかれたのです。太ってなどいるわけがありません。
  痩せている方が美しいのです。

   ●〈美しい〉と〈キレイ〉
〈美しい〉を辞書で引くと〈きれいなこと〉、〈キレイ〉を引くと〈美しいこと〉と出てきます。けれどこの2つはだいぶ違うような気がしてなりません。〈キレイ〉は、よく整理されたとか、掃除がいき届いたとか常識的なイメージですが、〈美しい〉は逆に常識を超えた何かを感じさせます。この世のものとは思えない美しさ、とは言いますが、この世ならぬキレイさ、とは言いません。
〈キレイ〉は表面的、〈美しい〉は内面を表す言葉なのでしょうか。「美しい人生」は真摯に生きた生涯を思わせますが、「キレイな一生」は要領よくスマートに過ごした人生のことでしょうか。
 どちらがいいか、太るか痩せるか、人それぞれだと思います。

明日葉ビールと小麦若葉翡翠餃子
夏はビール! コレステロールが気になる方に「キトサン明日葉汁日和」を入れた、のみ口さっぱりの健康的なビールができました。
つまみの焼き翡翠餃子の皮は「ニップンの強力小麦粉」に「小麦若葉の青汁」を練り込み、 その中身は雑穀のなかでも一番栄養バランスがすぐれたひえと、滋養・強壮の不老長寿食品といわれる山芋を中心に数種類の野菜をいれて作りました。木澤智乃(料理研究家)


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