2010年3月号


おいしい劇場
Scene 3.

「チャングムの誓い」の舞台となった景福宮では、毎日当時の儀式のパフォーマンスが見られるて
チャングムは 高麗人参を選んだ
●「水を持ってきなさい」
 まだ幼い女官見習いのチャングムに、師のハンサングンは毎朝毎夕水を持って来るように命じます。そして、「ただの水でも器に盛ったときに料理になる」と教えます。「飲む人のからだと心の状態を察して、冷たい水、温かい水、時には塩をひとつまみ落としてお出しするのです」
 このシーンを見たとき、料理に無知な者でも「なるほど! 」とうなずいてしまいました。
 大勢の人を救う女になると父から予言されたチャングムは、宮廷の女官から医女となって、疫病と闘い、王の主治医となります。王が病を得て体力も気力も失ったとき、彼女は必ず食事と薬の中へ、高麗紅蔘を調合するのでした。

(左)薬令市場門  (右)薬令市場

●新型インフルエンザに勝つ
 韓国では、新型インフルエンザの流行以来、高麗紅蔘が爆発的に売れている、と聞いて、ソウルの韓国蔘人公社を訪ねました。
「韓国の食薬庁は、高麗紅蔘が免疫力を高め、血行の増進、記憶力の増進に効果があることを認めて発表しました」(海外事業部のキム・ヨンボンさん)
薬効のことよりも、政府に食薬庁があることに驚きました。さすがに食薬同源の國ですね。ちょっと羨ましくなってしまいました。

(左)高麗人参。ソウルの台所、竜頭市場にて  (右)竜頭市場の屋台にて

●オモニの水
 薬令市場は、およそ考えられる限りの韓方薬の材料が並んでいます。チャングムが見たら嬉しくて卒倒したかも知れません。
 マイナス6℃の夕方、薬令市場に隣接した竜頭市場を歩き回り、賑やかな屋台の店に誘われるように入ってしまいました。うかがうようにみていた女将さんがコップの水を出してくれます。冷たくもなく、ぬるくもなく、微妙な温度が疲れたからだをいたわり、奮い立たせてせてくれます。
「オモニ・・・」と思わずつぶやいていました。「韓国語をしゃべったよ」店の客が一斉に笑いかけてきました。

■インフルエンザに勝つ「チヂミ」
「ニップン チヂミに粉」の中に免疫力に優れた「日本製粉 高麗紅蔘茶」を練り込み、野菜たっぷりのチヂミを焼いてみました。韓国風たれの中にも「日本製粉 高麗紅蔘茶」入れました。。
木澤智乃(料理研究家)

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