第4回 東京 神楽坂 雑穀茶漬け+水上倶楽部
2007年 月 日発売号
 ちょい酒の昼行灯
 ボートを漕ぐなんて何年ぶりのことだろう!
 JR総武線の窓から外堀に浮かぶ青と白のボートを見かけたばかりに、飯田橋駅で途中下車。神楽坂を登る手前で「東京水上倶楽部」への階段を降りてしまいました。
 お堀を渡る風も気持ちよく、オールの立てる水音も若々しくはしゃいでいるようです。今日は腕の満歩だ、とばかりに、しばらくは熱中してしまいました。
 少し汗ばんで、ぐいっとビール! とのどが鳴りますが、ここは我慢。
 神楽坂を登り、大江戸線牛込神楽坂駅の手前の路地の奥、どう見たってしもた家。戸の前のイスにメニューがなければ、まさかお店とは気づかない「昼行灯ろびん、赤提灯ろびん」です。
2階へ上がって、すだれの前の丸いちゃぶ台に座って、見回せば、ふすまを取り払った押入には、ミシンに縫いかけのハギレ。
 どこかで見たたたずまい。そう、映画「ALWAYS3丁目の夕日」の昭和30年代の情景です。まったりと日ごろの緊張が緩んでいき、だらっとしていいんだな、と思ってしまいます。よくある演出だと分かっていても、この装置には負けてしまいそう!
小さなノート型のメニューには、「只今、番茶時間」。いろいろな番茶があり、お茶用のトッピングもあります。阿波番茶は乳酸菌発酵しているもの、美作(みまさか)番茶は岡山のほうじ茶、という具合です。
 ぺージをめくると、
「真昼間のちょい酒いかがですか」
 してやったりです。
 OLを経て6年前に神楽坂で焼酎バーを開き、2つ目のこの店を出したのは1年前だそうです。「塩っぱいカフェのつもりです」。
 夕暮れは、玄関の上のもの干し台に赤提灯がともり、「下戸お断り」となります。

FOOD
[昼行灯ろびん、赤提灯ろびん]
新宿区岩戸町19Tel:03-5261-2813(月曜休、月曜が休日の場合火曜休、第4水曜カフェタイムのみ休)
 お漬け物とお総菜のお茶漬け(お漬け物数種 そーざい お茶つき)980円。
お番茶(お好きなお漬け物2種とショウガ入り練り梅、甘いものつき)750円。
お茶漬けとセットで1480円。昼間のちょい酒はエビスビール小瓶700円。グラスワイン700円など。

SPOT
「東京水上倶楽部」(ボート乗り場)新宿区神楽坂1‐9tel : 03-3260-8068
1918年に創業者の古川清氏が島根から船大工を連れてきて作った日本で最初のボート場。現在は3代目の古川博興氏。併設のカナルカフェは1996年から。ボート30分2人乗り500円 3人乗り600円。

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