第259回 【 南インド料理を食べに行く 】
11月10日号
マサラドーサ
 米粉と豆粉を練った生地をクレープのように伸ばし、直径45センチほどにひろげて鉄板で焼き、ジャガイモのドライカレーをまぶして大きく丸める。テーブルを圧倒する大きさだが、指で壊しながら、お好みのソースで食べる。
 チャットニは手前左からサンバルー(豆と野菜のカレー)、ピーナッツとココナッツのペースト、ミントとココナッツ、ケサリバース(麦を茹でてサフランを和えたもの=日替わりデザート) 1400円。  うしろに並ぶのは20種を超えるスパイス。料理に合わせてチョイス、食薬効果と組み合わせ無限のハーモニーを作り出す。



  先月28日、インドのモディ首相が来日、安倍首相は軽井沢の自分の別荘に招いて夕食会を開いたという。
 メニューは何だったのだろう。カレーも出たのだろうか。インド人は365日3食すべてカレーを食べると聞いたことがあるが、ほんとうだろうか。
「インドではあらゆる料理にスパイスを使います。日本料理に醤油を使うようなものです。日本風の〈ライスカレー〉を3食食べているわけではありません」と笑って答えてくれたのは、南阿佐ヶ谷の南インド料理店「プラバート」のオーナー堀口桂子さんだ。
 堀口さんは、インドに興味を持ってたびたび旅行するうち、1985年、インドの青年と結婚。相手はヒンズー教のカーストの最上級バラモンの出自で、当然ベジタリアンだった。
 1989年から、東京・吉祥寺近辺でインド料理店などを開いていたが、17年後の昨年、心機一転、南阿佐谷に移転して、南インド料理店「プラバート」を開店した。
「プラバートはインドのサンスクリット語で〈輝ける朝の光〉という意味です。私が住んでいた、マハラシュトラ州プネーの街の中心を貫く動脈のような道路がプラバートロード(PRABHAT ROAD)です。インドの生活は大変でしたが、プネーは大好きな町でしたから、新しい始まり(朝の光)の思いを込めて店の名前にしました」
 いま、東京都内のインド料理店は約1500軒、うち南インド料理店はおよそ60軒だそうである。2005年ごろはたったの5軒だったというから、ちょっとしたブームと言っていい。
 人気の秘密は?
「北と南ではスパイスが違います。カルダモン、ターメリック、クミンなどは共通して使いますが、南ではブラックマスタード、フレッシュカレーリーフなどを主に使います。料理は、北はこってり系で、畜肉に牛乳、生クリーム、バターを使います。南はさっぱり系で、野菜と魚介類にココナッツミルク、タマリンドなど。北はナン(麦)を焼きますが、南では豆や米(パスマティライス)です」
ヘルシー志向がブームの秘密かも知れない。
oooo
 南は、ITの頭脳が密集して、インドのシリコンバレーといわれ、世界の大企業の開発拠点となっている。マイクロソフトやグーグルの経営トップも排出した。「インドのソフト、日本のハード、の補完関係にある」(世耕経産大臣)のだそうである。インドの頭脳、日本の手作業ということか?
 
オーナーの堀口桂子さんと店長の智弘さん。ヴォーグ誌などで活躍したファッション写真の貴公子・吉田大朋の写真が並ぶ店内にて。

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