第250回 【 ジョージア料理を食べに行く 】
2月10日号
  新年早々、日本の伝統・大相撲の灰黒色のもやもやを、えいやと投げ飛ばしたのは、栃ノ心関だった。本名、レヴァニ・ゴルガゼ。ジョージア出身の31歳。イケメンで角界のニコラス・ケイジと言われる。
 2006年3月場所・初土俵、10年には小結まで昇進したが、ケガで幕下55枚目まで転落。1から出直して、今年初場所の優勝を遂げた。春日野親方にゴルフのアイアンで殴られて部屋を脱走したこともあった。引退を考えた時は、親方に「バカじゃないか。あと10年は相撲を取るんだ」とドヤされた。
 昨年11月、長女アナスタシアちゃんが誕生、里帰りちゅうの夫人とテレビで喜びを分かち合った。
 栃ノ心の生まれ育ったジョージア・ムツヘタとは、どんなところなのだろう。実家はワインの醸造家で、栃ノ心も相当の酒豪だというが・・・。
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 ムツヘタは、紀元前1世紀ごろに栄えたイベリア王国の首都で、1994年に世界遺産に指定された古キである(スペインのイベリアとは違う)。日本では弥生時代に当たり、京都、鎌倉の比ではない。
 ジョージアは、91年、旧ソ連から独立。ロシア語由来の「グルジア」を嫌い、国名を「ジョージア」とした。首都は臥牙丸が生まれたトビリシ。
 西は黒海。南はトルコ、北はロシア連邦、この連邦の中にはチェチェン民族共和国もあり、自国にも統治不能の自治区を抱え、南オセチアなど紛争が絶えない。中東、アジアの交差点であり、宗教もキリスト教、イスラム教が入り混じっている。それだけに文化は豊穣で、もちろん食文化も豊かなのだろう。
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 ジョージア料理を食べに行った。
 吉祥寺北口から直ぐのカフェ ロシア。午后4時、遅いランチの客でほぼ満席だ。忙しく立ち回っているスタッフは、ロシアとウクライナの女性とカザフスタンの男性だという。
 ロシアとジョージア料理を定番とする、メニューを見る。国と国は角突き合っているが、食べものに国境は無い。
 [ヒンカリ]ジョージアのパクチーをふんだんに使った小籠包。 [ハチャプリ」パイ生地でもパン生地でもない、不思議な生地でチーズを包んでオーブンで焼き上げたジョージアのピザ。ハチャはチーズのことで、プリはパンの意味だという。全国各地にそれぞれ工夫された味の[おらがハチャプリ」があるという。
 そしてワイン。栃ノ心の実家のものかどうかは分からないが、渋みがあって大人のワインというところか。
 個別の説明よりも早わかりのメニューにトライした方が良いかも知れない。
 お試しセット「ジョージア」(3200円)。 毛皮のコートを着たニシン など前菜五品、ハチャプリ、タバカ(ジョージア風ローストチキン)、グルジア珈琲。
  睡眠と料理が趣味という栃ノ心。よく食べよく眠って、大関を狙ってほしい。

カフェ ロシア 吉祥寺本町1−4−10 ナインビルB1 tel:0422−23−3200

写真上)ハチャプリ(アジャルリ・タイプ )1000円、ワイン(ムクザニ)赤 780円 、ボトル3600円、ジョージア(グルジア) コーヒー 450円
写真下)スタッフのルシコフ・ヴラディスラヴさん(23)。日本へ来たのは10歳の時。18歳からロシア/ジョージア料理人を目指して修業中。

オリンパスOM-D E-M1 MarkU M.zuiko Digital 12-100mm F4
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