第244回 【 ヨコハマ トリエンナーレ2017とヴェネツィア ビエンナーレ 】
8月10日号
ミスター(キューバ生まれ)作「まるで胸に穴が開いたような、ぼくの知っている街、東京の夕暮」浜美術館

  3年に1度、世界各国からアーチストを招待して開かれる現代アートの国際展「ヨコハマ トリエンナーレ2017」が開幕した。タイトルは『島と星座とガラパゴス』―《「接続」と「孤立」をテーマに、世界のいまを考える》だそうである。今回は約40人・組が参加する大展覧会である。
  関連して、黄金町バザールやBanKART Life V なども参加。ほかに象の鼻、水族館劇場などでイベントが開催され、トリエンナーレ期間中、浜はアートの街になる。
 タイトルの「島」は日本のことか。「星座」は多数の星を国旗に使ったEUだろうか。「ガラパゴス」は? 純血主義のイスラエルか、保護主義のアメリカだろうか、主宰者に訊いてみたいものだ。
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 7月中旬、写真集撮影のためヴェネツィアに滞在したが、時間を見つけて開催中の第57回ヴェネツィアビエンナーレを見学した。こちらは2年に1回、1893年から始まって120年の歴史を誇る。
 浜とは、組織も方法も違うだろうが、中身の印象は素人目にはほとんど変わらない。トリエンナーレ、ビエンナーレは、いま、世界中で数多く開催されているが、何処も同じようだ。それは、アーチストが限られることと、その出展作品の多くがインスタレーションだからかも知れない、と思う。
 インスタレーションは、アートの表現・展示方法の一つで、中国では設置芸術と書く。アパートの1室を丸ごと作品としたK・シュヴィッタースの「メルツバウ」がはじまりだという。
 絵や写真を飾ると部屋の雰囲気が変わる。いい作品なら、部屋は別世界となる。
 陳腐なものや退屈な映像が多いけれど、一挙に異空間へ連れて行ってくれる作品を見つけて、身体いっぱいに非日常をインストール出来たら、きっと夏休みの貴重な体験となるだろう。

ビエンナーレの主会場アルセナール(元・共和国時代の造船所)へは、VIVAと書いた赤い案内標識をたどっていく。

庶民の街を通り、洗濯物の下をくぐって、運河に沿って曲がり、橋を渡っていく。

ピン・バッジを使った虹を見上げる。(ヴェネツィア ビエンナーレで)

【ヨコハマ トリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス展】
浜美術館 浜赤レンガ倉庫1号館 浜市開港記念会館(3会場間無料バスあり) 11月5日まで(休館日 第2、第4木曜)
鑑賞料:一般1800円、大学・専門校学生1200円、高校生800円、(黄金町など共通セット券はそれぞれ600円をプラス)中学生以下無料

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いずれも問い合わせは03−5777−8600
オリンパスOM-D E-M1-MarkU M.zuiko Digital 14-42mm F3.5-5.6
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