第242回 【 スマホ vs デジタルカメラ 】
6月10日号
渋谷・ハチ公前で。

  人はなぜ写真を撮るのか。フランスの精神科医で映像評論家のG・ティスロンは、「思い出を、とりあえずカメラという箱の中へ投げ込んでおく。あとで取り出して見るための行為」だといいます。しかし、いまや1日1兆回のカシャの時代、記憶箱は溢れて手がつけられない、まるでゴミ屋敷状態です。
 携帯電話にカメラがついたのは1999年、京セラが最初でした。それから18年、カメラ機能は進化を重ねて、最近は、望遠と広角の2カメラや、自撮り対応のインカメラが付いたものまで出現しました。通信機能も位置情報も付いていないコンパクト・デジカメなどは、まるでかたなしです。
 しかし・・・・・・、
 それほど進化したスマホを持ちながら、人はなぜデジタルカメラを欲しがるのだろう?

「カメラグランプリ2017」3冠王の オリンパス OM-D E-M1マークUとM.ズイコーED 12-100ミリ F4 ズームレンズ

 6月1日の写真の日を前に、「カメラグランプリ2017」が発表されました。2016年4月から今年3月までの1年間に発売されたカメラを対象に、全国のカメラ記者などが選ぶ「カメラ大賞」と「レンズ大賞」、一般ユーザーがwebで選ぶ「あなたが選ベストカメラ賞」ですが、すべて3冠を制したのは、オリンパス OM-D E-M1マークUとM.ズイコーEDズームレンズ(12-100ミリ F4 )でした。静音連写モードでの1秒18コマ(オートフォーカス、オート露出)や6.5段分の手ぶれ補正(地球の自転に相当する)など、ミラーレス機の概念を超えて、今後の方向を示した。というのが受賞の理由です。一般ユーザーの声も「飛翔する鳥の追随や、夜間の撮影に驚異的といわざるを得ないパフォーマンス」などなど。
 実は、筆者がいま毎日持ち歩いて撮影しているカメラが、この3冠王なのです。受賞理由も確かにそのとうりなのですが、このカメラの魅力は少し違うところにあるのではないかと感じています。スマホでは決して得られないもの、・・・自分だけの秘密にしておきたかったのですが・・・。
 写真を撮ることを英語でシュートするといいます。〈撃つ〉、です。カメラを手にしたときの、撃つ気分、一種の〈いさぎよさ〉をこのカメラがくれる、それが好きです。

オリンパスE-P1  M.zuiko Digital 14-42mm F3.5-5.6

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