第241回 【人生を変える1枚? 人生をかけた20点!】
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東京カメラ部2017展(渋谷ヒカリエで)
みなさんもたくさんの写真を撮られたことと思います。デジタルカメラやスマホの普及で、カシャの数は、世界中で1日1兆回という試算があります。
撮った写真は皆さんどうしているのでしょうか。友だちにメールで送ったあとは、そのままスマホの中へ収まったきり。思い出して見ることもめったにないのでは。
しかし、その中に、実は素晴らしい写真が眠っているのではないか。もしかして〈人生を変える一枚〉かも知れない大傑作の写真が。
連休のまっただ中、渋谷ヒカリエで、東京カメラ部2017展が開かれていました。2016年に、フエィスブックのサイトに応募投稿された190万の写真の中から選ばれた10点を中心に、2012年からの4年間の作品を加えて、約1200点を並べた大展覧会です。昨年は4日間で2万7千人の来場者があったといいますから、ギネスものの写真展です。
問題は190万から10点をどのように選んだが、考えただけでも気が遠くなりますが、実は、延べ4億5千万の閲覧者の〈いいね〉などの数で決まるのだそうです。サイト運営代表の塚崎秀雄氏によれば「日本に住んでいる方々が見たかった、好きだった写真」。つまり、日本人の美意識が選んだ10点ということになります。それは、画面いっぱいの枝垂れ桜だったり、白壁の前を歩む和装の美人、湖面に映る逆さ富士など、いずれもどこかで見たことのある、時代離れの写真が多い。プリント仕上げのクオリティは高いが、今日の日本の空気が少しも伝わってこない。2017展のキャッチフレーズは、〈人生を変えた1枚、人生を変える1枚〉ですが、観る人の心を震わせる写真を、そう簡単に撮れるはずがないことを証明しています。
「原故郷のスラヴ民族」(部分)「スラヴ叙事詩」より
六本木の新国立美術館でミュシャ展が開かれています。ミュシャは1890年ごろのパリで、当時の大女優サラ・ベルナールのポスターで有名になった超人気のコマーシャル画家でしたが、スメタナの組曲「わが祖国」を聴いて、突然アトリエから消えたそうです。そして51才で故郷のプラハに戻り、苦難の歴史を歩むスラヴ民族の尊厳と栄光を描く「スラヴ叙事詩」の制作に17年をかけます。
1939年、チェコはナチ・ドイツ軍に占領され、ミュシャは、「スラブ叙事詩」がチェコ国民の愛国心を刺激する、と言う理由で捕らえられて、厳しい尋問を受け、78才で他界します。
〈人生をかけた〉全20点。横6メートル縦4メートルの巨大な絵の中の人物は、いずれも正面を向いて眼を見開いている。何を見ているのだろう、きっと観る人のこころの中を探しているのだ、と思うのです。
オリンパスOM-D E-M1 Mark U M.zuiko ED 12-40mm F2.8
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