第225回 【 丙申(ひのえさる)波乱の兆し 2016新春占い 】
1月10日号
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 いま、若い人の間で、陰陽五行説が密かにはやっている。その若い友人が仕入れたばかりのうんちくによれば、2016年の干支・丙申は、なかなか問題の多い年回りのようです。
 丙は火を表し、申は金を表す。燃えさかる火と光り輝く金なら、絶好調の景気が期待される1年といいたいのだが、どうやら違うらしい。この世は月と太陽、裏と表、女と男、というように、〈陰〉と〈陽〉で成り立っているという考え方からすれば、火と金は両方が〈陽〉であるから《相性》が悪い、《相克》である。つまり、火は金を溶かしてしまうので、いろいろ不都合なことが起こる、というのです。
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 丙は、10年ごとに来ます。2006年はどうだったか。1月早々ライブドア事件、堀江被告逮捕。3月、ソフトバンクがボーダフォンを1兆7500億円で買収。トリノ五輪でイナバウアーの荒川静香選手が金メタル。第1次安倍内閣が発足。とにかくバブルを超えて、戦後最大の景気拡大の年だったようです。この年の十二支は戌。丙戌(ひのえいぬ)は火と土で《相性》の年でした。
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 丙申は60年ごとに来ます。60年前の1956年は、1月、芥川賞に石原慎太郎「太陽の季節」。5月には裕次郎デビュー。北原三枝と初共演の「狂った果実」もこの年です。  2月には「週刊新潮」が発売、週刊誌ブームが起こる。テレビの低俗番組を大宅壮一は「一億総白地化」と評した。いまなら「もはや戦後ではない」(経済白書)と流行語大賞を争ったことしょう。  スエズ動乱、第2次中東戦争。カストロがキューバに上陸、ゲリラ活動開始。日本が国連に加盟したのもこの年です。国内では原子力委員会が発足、初会合。水俣病が表面化……。
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 さらにさかのぼって420年前、1596年の丙申は今年と同じ閏(うるう)年でした。
 7月、慶長伏見大地震。秀吉が晩年の本城として豪華絢爛に完成したばかりで、天守閣も崩壊した。このとき、秀吉のそば近く仕えていた29才の青年が真田繁信(幸村)でした。(27才説もある)
 伏見城は再建されたが、地震は豊臣時代の終焉を告げる揺れでした。秀吉、2年後に死亡。さらに2年後の1600年、関ヶ原の戦い、と揺れ続けます。この東西決戦のとき、真田親子は、父・昌幸と繁信は石田三成の西軍へ、長男の信幸は徳川家康の東軍に付き、双方が家紋の六文銭の旗印を掲げて戦うことになるのです。
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 10日から始まるNHKの大河ドラマ「真田丸」は、家族の問題として捉える、と宣伝しているようですが、「真田家は上田、沼田合わせて6万石程度の中小企業ですから、どちらかの大手に付かなければ生き残れない。うっかり負け馬に乗っかれば破産だから見極めが大事という、よくある図式でしょう」とこれは上田出身の若い友人の解釈です。ではなぜ幸村は西軍についたのか、と問うと、彼はしばらく考えて、「六文銭の意味を知っていますか?」という。知らなかった。「三途の河の渡し賃だそうです」「へえ、地獄の沙汰も金かあ。六文っていまなら幾らぐらいだろう」と間抜けなことを言った。「渡し賃はやるから死ぬまで戦え、ってことじゃないですか」。
 彼はいまブラックアルバイトをやめて次の仕事を探している。

写真 上田城跡公園は観光客で大賑わい。家紋の旗印・六文銭の意味は? 上田市民なら誰でも知っている。

オリンパスOM-D EM-1 M.ズイコーデジタル12−60 ミリ


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