第219回 メガ恐竜vsクレオパトラ 夏休みの贈りもの
7月10日号
  近ごろ地球がおかしい。かなり以前からみなが気づいていたことだが、2011年の東北大震災以来いっそう顕著になってきた。
 昨年、御嶽山の突然の爆発に驚いているうちに、今年は箱根大涌谷が蠢動をはじめた。地面が30センチ盛り上がり、7月6日現在、警戒レベルが3に。5月には口之永良部島が噴火。一方、小笠原諸島の西之島は1年半以上も活動を続けていて、新島の大きさは12倍になった。
 世界でも有数の活火山・浅間山もおとなしくはしていない。現在の警戒レベルは2だが、過去には大噴火で一村を火砕流でのみ込んだ歴史もある。日本列島がマグマの上に乗って揺れているようだ。富士山はどうか、現在の警戒レベルは1だ。
 これらすべてが、もしかしたら、首都直下型の地震の予兆のように思えて不気味である。かつての関東大震災の震源地が相模湾だったことを考えると、箱根山の動向がいっそう気になる。
 このような地球の内部の活動期は、実は、怪獣・恐竜の活躍した白亜期とそっくりだという説もある。折しも兵庫県丹波山では、恐竜の卵が発見・認定された。
 写真1は、丸の内に出現した恐竜だ。去る6月初旬、「メガ恐竜展2015」のPRのために、報道陣に公開されたのだが、そういえば、近くの永田町には、アベノミクロウスだのヒャクタノウルスだのが出没している、などとジョークを言っている時ではなさそうである。
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 クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう、ときいたことがある。絶世の美女と言われるクレオパトラにも欠点があって、それは鼻が高すぎることだったらしい。鼻低民族の人間としては考えにくい話だが、残された彼女の彫像のほとんどが鼻が欠けているのはそのせいだろうか。
 古代エジプト最後のプトレマイオス朝の女王となったクレオパトラ7世は、父の残した膨大な借財を背負って国を立て直さなければならなかった。彼女は聡明で、美しい声で七カ国語を自由に話し、美女というより魅力的で、女性らしい策謀家だったとされる。自らを絨毯に包んで貢ぎ物にしたり、恋愛術にたけた恋多い女王だった。
 ローマの皇帝カエサルが彼女の魅力にとりつかれ、彼が暗殺されたのちにはアントニウスを虜にした。しかし、ローマに敗れ、毒蛇に自らを噛ませて自殺。遂に古代エジプトは滅亡した。
 プトレマイオス朝の王墓は、一つも発見されていない。
 彼女の彫像の鼻が欠けているのは、その後の大地震のせいか、敗れた國は徹底的に破壊される当時のしきたりのせいか、謎は多い。



(C) Archivio Soprintendenza per i Beni Archeologici del Piemonte e del Museo Antichita Egizie


Archivio fotografico del Civicl usel d'Arte e Storia Brescia

写真(大) 丸の内に恐竜が出現? オリンパスOM-D EM-1 M.ズイコーデジタル12−50 ミリ
写真(小上) トゥリアサウルス 復元図
写真(小中) 《クレオパトラ》プトレマイオス朝時代(前1世紀中頃)トリノ古代美術
写真(小下) クレオパトラの死 アッキーレ・グリセンティ筆、1878〜1879年  プレシア美術館蔵

【メガ恐竜展2015】
幕張メッセ国際展示場11ホール 7月18日〜8月30日
料金 大人(高校生以上)2000円(前売り券1600円)子供(4歳~中学生)1000円(前売り券800円)
*メガプレゼント 7月の平日限定 毎日先着1000名に《恐竜のウンチ化石》をプレゼント。 8月は10日間限定 先着300名に《アンモナイト化石》をプレゼント。(問い合わせ03-5777-8600)

【クレオパトラとエジプトの王妃展】
東京国立博物館 平成館  7月11日~9月23日
鑑賞料 一般1600円 大学生1600円 高校生 800円 (問い合わせ03-5777-8600)
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