第217回 モノは真実を語るか? 【大英博物館展】
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この時期に、日本では「大英博物館展」が開かれている。
大英博物館は、1959年に開館した世界屈指の博物館である。かつて世界に君臨したイギリスは、洋の東西を問わずに美術工芸品、書籍などを集めた。もちろんその中には略奪品もある。総数800万点を収蔵する。その中から、100点を取り出して、モノを読み解きながら「世界の歴史」を語ろうという試みである。
人間の歴史は、モノとの関わりなしには語れない。が、果たしてモノは真実を語ることが出来るのだろうか。
会場でわれわれは、まず「古代エジプトのミイラの棺」に出会う。
研究の結果、この棺に入っていたのは、シェペメヒュトという名の女性で、彼女は、テーベの神殿でシストラムという楽器を演奏していたことも分かった。もちろん研究の課程で、当時の人々の生活や宗教行事なども明らかになった。
ところが、近年になって、棺に入っていたミイラをCTスキャンにかけると、遺体は実は男性だったことが判明した。しかも、頭蓋骨の中に、脳の中身を取り出すときに使った道具が置き忘れられていた。研究が進むにつれて謎は深まるばかりだ。
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棺のエピソードから始まる歴史は、第8章「工業化と大量生産が替えた世界」を紹介する。中学生のころ習ったいわゆる「産業革命」から始まる現代テクノロジーの世界である。折しも日本では軍艦島をはじめとする「明治産業革命23施設」が世界遺産に登録を勧告された。
そしてエピローグ。「いま、そして未来を語るモノ」には、101点目として、「紙管-坂茂による紙の建築」が加えられた。
写真(上) 公式サポーター田中麗奈さんを取り囲んでいるのは、「ルイス島のチェス駒」だ。映画ハリーポッター」の第一作に登場した。
写真(中) 古代エジプトの棺
写真(下左) カルパトス島の女性像(紀元前4500-3200)最古の古代ギリシャ彫像。キクラデス諸島で発見。
写真(下右) 繊細で美しい「アポロジニの網み籠」(オーストラリア1875-1927)タコノキ属パンダナスの繊維、羊毛などから作られた。
オリンパスOM-D EM-1 M.ズイコーデジタル12−50 ミリ
【100のモノが語る世界の歴史−大英博物館展】 東京都美術館 6月28日(日)まで 月曜休館 問い合わせは03-5777-8600まで
入館料:一般1600円、学生1300円、高校生800円、65歳以上1000円、早朝ペア2200円
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