第210回 「オリンピックと新幹線がやってきた」
10月10日号
  10月10日は特別な日だ。1964年、第18回オリンピックが開かれてから、ちょうど50年目に当たる。その9日前には東海道新幹線・東京―大阪間が開業した。焼け野原で飢えていた敗戦後からたった19年後、特別の上に超がつく奇蹟のような年だった。
 オキュパイドジャパン(占領下の日本)に、民主革命と生活革命がいっしょにやってきた。朝鮮戦争の特需で好景気の中、羽釜から炊飯器へ、箒から掃除機へ一挙に豊かになった。その頂点が新幹線開通と東京オリンピック・パラリンピックだった。
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 新幹線は、オリンピックに間に合わせるために、夜を日についでの突貫工事だった。途中で国鉄は民営化されてJRとなった。
 最大の困難は用地買収で、960万平方メートル、5万人が交渉相手だった。すべての買収が完了したのは64年1月。開業まで9ヶ月を切っていた。
 試運転の期間は短く、予定の4時間を切ることは出来なかった。来年投入の〈のぞみN700〉は、285キロ、2時間22分を目指すという。(現在、カーブの少ない山陽新幹線は最高時速300キロ)。
 東海道新幹線は50年間に約56億人を運んだ。運賃収入は年間1兆1138億。(2013年)
 新幹線の誇りは、《50年間死傷者ゼロ》と2013年の1列車あたりの遅延時間0.9分という《運行の正確さ》だ。
 2020年、再び東京オリンピックがやってくる。それに間に合うようにリニア新幹線が走り出すのだろうか。


写真(大) 選手村近くで世界のバッチを集める人もいた。
写真(小上) 初運転は最高時速210キロ。現在最高270キロ。
写真(小中左) たらいに洗濯板から電気洗濯機へ。
写真(小中右) 87分の1の新幹線が走る15mX5mの特設ジオラマ。
写真(小下左) 金メダルは純銀に金メッキ。ひもは西陣織だった。
写真(小下右) 5輪をあしらった授章式のお嬢さんの着物。

ニコン ニッコール50ミリ
オリンパスOM-D E-M5 M.ズイコーデジタル12−50 ミリ


【東京オリンピックと新幹線】 江戸東京博物館 tel 03-3626-9974
11月16日まで 月曜休館(月曜が休祭日の場合は開館:翌日休館)
観覧料:一般1340円、大学生1070円、小・中・高校生・65歳以上670円。(常設観覧共通券は別途設定)
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