第195回 働く姿を子供たちに伝えたい アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」授賞作品展
アイデムフォトギャラリー・シリウス

11月25日号
  求人情報誌を発行するアイデムの社長椛山亮さんは、ずっと人の働く姿に興味を持っていた。仕事柄、当然とも言えるが、「働くことのすばらしさや大切さを、次代を担う子供たちに伝えていくことは、人と仕事を結ぶことを事業としてきた私どもにとって、広く社会に向けての大切な活動」(第9回展の主宰者挨拶より)と考え、その働く姿を記録しておきたいと思うようになった。
 椛山さんは、親交のある写真家田沼武能さんに相談した。田沼さんは、120カ国以上の国を回って、世界じゅうの子供の写真を撮ってきた写真家である。
 椛山さんは、もともと写真が好きだということもあって、2001年に本社ビルを建てる際に、2階の1部を写真ギャラリー「シリウス」として一般に開放している。田沼さんとは当然のように意見が一致、「はたらくすがた」写真コンテストを行うことになった。
 2005年の第1回は106点の応募しかなかった。が2年目からは右肩上がり、いろんな意味で一番心配した2011年は、震災6か月後の9月の締め切りにもかかわらず、最高の5918点の応募があった。大災害は、かえって人の働く姿を浮き彫りにしたのだ。
 田沼さんは、「子どもたちは親が何をどう働いて生活しているのか、知らずに育っている。特に会社つとめの両親の姿からは何も見えてこない。いま、子どもたちに大人たちの働く姿を見せることは大切なことだと思う」と言われる。
 コンテストは、学校側の積極的な賛同を得られるようになった。学校単位で、夏休みの課題として、「はたらくすがた」の記録が始まった。子供たちは夏休みが始まると全国の田舎へ散るなどして、父母はもちろん、伯父叔母や祖父母、知り合いの大人たちの働く姿を調べ、撮影した。
 コンテストが始まって今年で9回目になるが、この間には、カメラのデジタル化という急激な変化もあった。そうして集まった2013年の応募は過去最高の6182点に達した。
「中高校生になると、技術的にはうまくなるが、どうしても型にはまったものが多くなる。小学生の写真が実にいい。見て感じたことを、素直に撮っている。」審査員長の田沼さんの感想である。
「ぱっと見たときの感激をカシャ」は、当欄の「新・写真作法」でご紹介したラルティーグのフォト・イノチェンティの神髄そのもである。ちょうど恵比寿の写真美術館で、「植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ」展が開催中だ。こちらも楽しみである。
○○
 コンテストの表彰式は労働感謝の日23日に行われた。






写真(大) 小学生の部グランプリ「稲刈りは大仕事」平出菜々美
写真(小上) 中学生の部グランプリ「畑でスイカの収穫中」藤江ゆうな
写真(小中) 高校生の部グランプリ「さあ、召し上がれ」宮川菜菜美
写真(小下) 入選作品の飾り付けがすすむ会場にて 審査員長の田沼武能さん(日本写真家教会会長)

オリンパス OM-D E-M5 M.ズイコーデジタル12~50ミリ


★ 第9回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」入選作品展新宿区新宿1-4-10アイデムフォトギャラリー・シリウス
tel:03−3350−1211 12月4日(水)まで  日曜休館 入場無料

close
mail ishiguro kenji