第193回 暑さに耐えたぶどう 2013勝沼ヌーボー祭り
10月25日号
  葡萄という漢字には、ほうじゅん(豊潤)とルビを振りたいイメージがあります。
 春にはまだ硬くて青い実だったぶどうが秋には豊かに成熟して、たわわな一房が陽を浴びた女性の肌のように半透明に輝くときほど、「実りの秋」を実感させるものはありません。
 豊満な一粒を口に含めば、甘酸っぱいかおり、ジューシーでぷりぷりの食感。
 2013年の夏は経験のない暑さでした。41・0度と書いて四万十と読むそうですが、山梨県勝沼も40.6度で堂々の第3位でした。(ちなみに第2位は甲府市の40.7度です)。
 そんな暴力的な暑さにも耐え、人々が今年の豊作を喜びあう収穫祭のときも沈黙を守り、新酒(ヌーボー)祭に間に合うように、静かに熟成の時間を過ごします。そしてぶどうは、華やかに葡萄酒(ワイン)に変身したのです。しかも今年は雨が少なかったので、ぶどうもワインもとても良い出来だそうです。
 JR勝沼ぶどう郷駅から坂道を15分、ぶどう畑の中の丘の上の市営「ぶどうの丘」のワインカーヴには、地元の29社の180種のワインが常時3−4万本貯蔵されているそうです。試飲用のタート・ヴァンを持った来場者が引きも切りません。年間来場者は約60万人。 試飲を重ねて酔っぱらってしまう人もいるそうです。
 勝沼では1200年前からぶどうを栽培していたといいますから、武田信玄もぶどうを食べ、ワインを飲んだかも知れませんね。
 ぶどうは最も古い果実といわれています。イエス・キリストの最後の晩餐のメニューには干しぶどうもあったはずです。もちろん血にたとえられた赤ワインはテーブルの主役でした。
 もっと古く、エジプトでは野性のぶどうの木が立ち枯れて乾いた実をつけていたのが、レーズンのはじまりだそうです。

 
写真(上) レストラン鳥居平のランチ・和牛肉のビーフストロガノフ。鳥居平のぶどう畑にて。
写真(下) 「ぶどうの丘」の地下のワインカーヴ タート・ヴァン(1,100円)を買うと自由に試飲が出来る。

オリンパス OM-D E-M5 M.ズイコーデジタル12~50ミリ


★ 新酒祭り 11月2日(土)ぶどうの丘噴水広場にて9時スタート、新種がなくなり次第終了。専用のワイングラス(1000円)を買えば好きなだけ試飲ができる。

☆ 甲州市営勝沼ぶどうの丘 山梨県甲州市勝沼町菱山5093 Tel;0553-44-2111 無休 ホテル ワインカーヴ レストラン 温泉「天空の湯」などからなる。温泉は600円(地元の人は300円)
☆ レストラン鳥居平 山梨県甲州市勝沼町菱山4729 Tel;0553-44-3080 無休


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