第178回 地球がおかしい マヤ歴と隕石とホワイトアウト
3月10日号
  「何だか地球がおかしい」と数年前から、いやもっと前から言われてきた。地球温暖化説と重なるようにクローズアップされてきた。しかし、ここ2,3年の冬を見る限り、氷河期到来説の方が説得力があるようにも思える。いずれにしろ、2年前の大地震と大津波以降も、地球は〈何だか〉ではなく、〈はっきり〉おかしい。
 2月15日にロシアに落ちた巨大隕石。正確には落ちたのではなく、空中で爆発して、破片が、日本の四国全体より広い地域に飛び散った。ロシア・ウラル地方では7420棟に被害が出て、負傷者は1584人以上と伝えられた。その爆発音は南極へも届いたというから凄い。
 小惑星が2月中旬に地球へ接近してくることは分かっていた。何かが起こる可能性も指摘されていた。その小惑星が連れてきた宇宙のかけらが隕石となったのだが、問題はなぜ空中爆発したかである。
 まずUFO説だ。巨大隕石がそのまま地球に落ちて、もし日本に直撃したら列島の半分が埋没する惨事となる。見かねた宇宙人がUFOをぶつけて、地球を助けたというのである。しかし、とんでもない、あれはもともと隕石などではなくUFOそのものだった、説もある。
 もっともらしいのは、アメリカのミサイルが、原子力施設への直撃を避けて極秘のうちに打ち砕いた、と言う話だ。今度の落下はNASAも把握していなかったと発表があったはずだが、冗談じゃない、NASAが分かっていないはずがない、というのである。一方、現実味のある話としては、ロシアが行った地下資源開発のための大規模な爆破だという。ウラル地方には大量のダイアモンドの埋蔵だ観測されていた。
 かつて恐竜が死滅した氷河期はまさに巨大隕石の衝突から始まった。今回の隕石の空中爆破は、現代の恐竜=人類の滅亡を救う究極の技だったのか?
 はたして氷河期は迫っているのか。北海道や秋田・こまち号遭難のニュースに接すると、その前触れではないかと気になってしまう。北海道も秋田も、猛吹雪の上に強風が雪を巻き上げて、視界は数センチだったという。筆者は今年初めに秋田でホワイトアウトの恐怖を実感した。一面の白で、時折見える道路らしいラインも、瞬く間に吹雪でかき消える。ワイパーは凍りつき、フロントガラスは磨りガラスと化す。空中を歩むような、不思議な浮遊感に不安がつのるがどうにもならない。何度も立ち往生し、道かどうか、あらぬ方向へ進んで、引き返す。土地のベテランが運転する車でなければ、遭難必至だった。
 さて、マヤ歴である。その緻密な文明が指し示す予告は、氷河期どころか地球滅亡の日が昨年12月23日に訪れる、とTVや週刊誌が騒いだ。が、何事もなく、とんだ迷信だ、笑い話にもならぬと思われた。が、実はうるう年を忘れた計算ミスで、正しい日付けは2015年9月3日だという。2020年9月3日説もある。天文学の世界では3年や10年は羽毛の誤差かも知れないから、今度も予測はずれの可能性が高い。それより隕石が原発に落ちる確率の方が心配である。その時こそ本当に人類滅亡ではないか。

写真  ホアイトアウト。時おり見える道らしいラインもたちまち吹雪でかき消される。不思議な浮遊感が不安をつのらせる。

オリンパス E-5 ズイコーデジタル 12~60ミリ


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