第145回 〈美食〉よりも〈敬食〉を
食のなでしこ2012グランプリ 生井みづきさん

10月10日号
  日本フードアナリスト協会が主催する、「食のなでしこ2012」の審査が去る9月15日に行われて、523人の応募者の中から7名の「食のなでしこ」が選ばれ、グランプリには生井みづきさんが輝やきました。
 さっそく生井さんをご紹介したいのですが、その前に、「食のなでしこ」とは何か、アナリスト協会の管理本部長・水嶋マリ子さんに聞きました。「日本の食の情報を世界に発信する親善大使」だとのこと。世界中に好感度を発信したサッカーのなでしこに劣らず、重要な役目を担うことになるわけです。「いわゆるミスコンと違うところは、年齢に関係なく(選考ファイナリストの15名は20歳から51歳まで)知識と教養があって、食に敬意を持って接している人、というのが審査基準です」。
  そう言えばアナリスト協会の活動指針の中に、〈美食よりも敬食〉の文字が見えました。TVのグルメ番組のレポーターの下品な食べ方、表現の貧しさにうんざりしている私たちとしては、「食のなでしこがんばれ!」と言いたくなります。たしかに、最終予選に勝ち残った方たちは、いずれも美貌と才能に恵まれ、TVのアナウンサー出身や飲食店を経営する実業家、海外生活の経験者など、食の親善使節にふさわしい女性ばかり。その中で生井さんがグランプリに選ばれた決め手は何だったのでしょうか。「健康的で、美しさの中に華があって、何より彼女には夢があるところが審査員の先生のこころを動かしたのだと思います」。
 その夢とは・・・・、現在彼女は、慶応大学大学院メディアデザイン研究所で「ITによる調理支援」の研究に携わっていて、料理のナビゲーションをしてくれるフライパン〈パンナビ〉の開発中で、いずれ市販されて、料理の苦手な人や単身赴任の男たちの役に立ちたいということなのです。
 生井さんは、今、フードアナリスト3級の試験を受けるべく猛勉強中。女優として舞台に立つこともある彼女は、まもなく、食の情報ナビゲーターとしてTVや雑誌で活動を始めるでしょう。

 
写真 生井みづきさん(25歳)。慶応大学大学院メディアデザイン研究所研究員。事務所近くのイタリアンレストランでランチ。ケイタイで写真を撮って資料作り。

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