第124回 駒沢ドッグラン グラフィティ
11月10日号
   1年のうち幾日もないような気持ちのいい爽やかな秋の昼下がり、駒沢オリンピック公園の犬の聖地に、各国代表の犬たちが集まっています。
 イギリスからはヨークシャテリア、ドイツからはダックスフント、フランスからはフレンチブルドックのヨーロッパ3首脳が、それぞれ個別会談の様子です。アメリカからは人気のボストンテリアが参加。早速フレンチブルとじゃれ合っています。日本側は、支持率が落ち気味の柴犬がホストを務めていますが、中国の狆との会談はまだ決まっていません。遠くメキシコからチワワ、スペインからイベザンハウンドがやってきました。それぞれ歓迎と友好を示しながら、匂いをかぎあって、にらみ合いやら追いかけっこ、逃げ回り、脅しの衝突。なかなかまとまりません。と、その場が一しゅん静まりました。真っ白の大型犬の登場です。勇猛果敢な秋田犬はドッグラン全体ににらみをきかせ、他の大型犬を威嚇します。が、いち早く事件の発生を察した飼い主にリードをつながれ、短時間で切り上げて帰って行きました。
 駒沢オリンピック公園ドッグランは、2003年11月に都立公園第1号のドックランとして正式オープンしました。すべての犬たちが自由に走り回れるテニスコートほどのスペースは、はれの社交場でもあります。今年10月に7周年を迎えたわけですが、実は7月から登録制になりました。理由は、スペース以上の犬が集まってラッシュ状態になったことと、何よりもマナーの悪さだったようです。近隣から、あと始末が不十分で不潔、昼夜の別なく吠える声に悩まされるなどの苦情が相次ぎ、狂犬病の予防接種を受けていない犬が来ることもあって、ドッグラン閉鎖に追い込まれたこともあったようです。現在はボランティアが毎月第1土曜日に清掃に当たっているとのこと。
 それにしても、人はなぜこんなにやっかいなペットを飼うのでしょうか。餌を与え、排泄の始末をし、散歩に連れて行き、病気になれば病院へ・・・。一時ロボットのペットが売り出されて話題になったことがありましたが、これならスイッチ・オン・オフで、面倒なし。番犬にかわる防犯ベル・防犯カメラも充実しているというのに。
 人はやはり体温のある生きものでなければ癒やされないのですね。


写真(大) 駒沢オリンピック公園ドッグラン 現在112名のボランティアによって運営されている。広さは1200u。中大型犬用と小型犬用に分かれている。登録した犬なら1年間いつでも利用できる。(登録には犬鑑札と狂犬病予防注射済み票が必要。)現在2,464頭が登録している。
問い合わせは03-3421-6431へ

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