第109回 チリ料理を食べに行く
3月10日号
   チリの人は日ごろどんなものを食べているのだろう。と、こんなことが気になったのは、2月27日に発生したM8.8の巨大地震の被災者が、一部では暴徒化して、略奪事件を引き起こしているというニュースを見ていて、傷ましい思いをしたからでした。住まいだけでなく食も失うということは、想像を超える悲惨な情況に違いありません。食は生きることに直結していますから。
 チリといっても頭に浮かぶのは、値段の割にはおいしいワインやサーモンのことと、映画「サンチャゴに雨が降る」のことぐらい。われながら情けない話です。
 チリ料理の専門店を探しました。が、ネットで見る限り、神戸にあって、東京には、ない。(東京では世界の料理を食べることが出来るというのはどうやら間違いのようですね)。ようやく南米料理の店を見つけて電話をすると、チリ料理のメニューがあるとのこと。
 渋谷・松見坂を登る途中の右側に、イグアナのイラストのある一軒家のレストラン「コスタ・ラティーナ」。2階の飾り窓には本物のイグアナがいます。店名は南米海岸の意味だそうです。オーナーシェフ・前浜ディエゴさんは35才、15年前に日本へ来て、8年前に大井町にレストランを開き、松見坂へ移ってから5年になるそうです。日本人の女性と結婚し、10才と6才の男の子がいます。祖父母は沖縄からアルゼンチンへ移民としてわたり、父は現地の人と結婚して、いまもアルゼンチンに健在だそうです。
「チリは長い海岸線に恵まれていますから、魚介類が豊富です。そして長城のようなアンデス山脈を背負っていますから山の幸にも恵まれています」  代表的な家庭料理をお願いしました。
「プチェロ・デ・オベハ。羊の肉とジャガイモをベースに、根菜をたっぷり使ったアンデス地方のラムシチューです」
 マイルドな、暖かみのある味です。 「チリは、一般的に甘口です。香辛料は使いますが、日本の小辛がチリでは激辛になってしまいます(笑)」
 チリ地震について、ディエゴさんは眉を曇らせて、「20万人が亡くなった1月のハイチ地震に較べたら、まだましと思うしかありません」。
 地震と津波から1週間後の首都サンチャゴでは、1部がまだ停電。コンセプシオンではほとんどが停電。死者800人を超え、倒壊家屋は50万戸以上、いまも震度5以上の余震におびえている、と新聞は伝えています。


写真(上)「コスタ・ラティーナ」の店頭で。オーナーシェフ・前浜ディエゴさん
写真(下)チリの代表的な家庭料理「プチェロ・デ・オベハ」

【南米料理・コスタ・ラティーナ】目黒区駒場1-16-12 tel:03-5465-0404 年中無休
18時-翌4時オープン、土日は12時-15時ランチあり
【メニュー】プチェロ・デ・オベハ1.449円 その他のおすすめ シーフードマリネ1,554円 アサド(チリ風シュラスコ=約500gのビフテキ)(シーフード・マリネ、ポテト付き、ライスもOK)4,000円など チリワイン ボトル2,800円 グラス600円 コーヒー500円

オリンパスE−P1, E−3 ズイコーデジタル 14−42ミリ,12−60ミリ
オリンパスE−P2, E−30 ズイコーデジタル 14−42ミリ,12−60ミリ
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