第90回 いま話題のアマニは、メタボに効く
5月15日号
   ニューヨークへ着いて初めての朝、マンハッタン57丁目のホテルで、時差ぼけの眠気を振り払ってカーテンを開けると、まぶしい光といっしょに目に飛び込んできたのは、ぴったりしたタイツで体をくねらせる女性たちの姿! これは朝からいい眺め! 28階の部屋から、通りを隔てた向こうのビルは、フィットネスのトレーニングセンターだった。それにしても、早朝の、おそらく出勤前の時間に、熱心なことだ。
  「太った人は出世できない」「自己管理ができない人物だと思われる」。そんなことが盛んに言われていた。たしかにマンハッタンを行くビジネスマンは男性も女性も、きりっとシェープされた細身の体を黒っぽい衣服で包んで、素早い動きで移動している印象である。もちろん、街にはでっぷり恰幅のいい紳士淑女の方が多いわけで、太らないためには涙ぐましい努力が必要だったことが分かる。
 2001年5月、ホワイトハウスから1通のレターがアメリカ農務省とFDA(食品医薬局)へ届いたという。いわく、「アメリカの食生活に、n-3系(オメガ3)脂肪酸の消費を積極的に奨励すべきである」。
 n-3系脂肪酸とは何か? 簡単に言えば、肉食では得られない栄養素のこと。魚、特に青魚に含まれる栄養素のことだという。
 アメリカの食べ物のまずさは誰でも指摘するが、不味いだけでは済まない、栄養の偏りからくる健康不全が、巨大な医療費増加となっている問題が深刻な状態に達していた。特に肥満は不健康のシンボルとされた。n-3系脂肪酸を摂ることで、動脈硬化の予防、アレルギーの予防、免疫機能の改善などができればこれに勝る施策はない、という訳だった。
 肥満が日本でも問題となったのは、肉食のアメリカ式食事を追いかけて、魚を食べなくなったからとも言える。2007年に、厚労省はメタボリックシンドローム解消を言い出した。おなかの周りが男性85センチ女性90センチ以上は要注意という。そこで、にわかに脚光を浴びることになったのが「アマニ」である。
 アマニは、「亜麻」の「仁(種子)」のこと。亜麻は古代から繊維は布に、種子は食用と薬用に用いられてきた。見た目はゴマとそっくりだが、植物繊維とリグナンがゴマの2倍、n-3系脂肪酸はゴマの100倍も含んでいるという。カナダが主な輸出国で、日本では日本製粉(株)が主に販売している。
 温めたパンを、皿に垂らしたアマニオイルに浸して食べる。サラダにローストしたアマニをふりかける。和食なら味噌汁に加える。最高級の麻の布のような、さらさらした爽やかな食感。バターよりも、オリーブオイルよりも軽く、口に後味が残らない。むしろくせがなさ過ぎるのが物足りないほどだ。

写真(上)ニューヨーク・マジソン街にて。
写真(下)朝食にアマニを。1日にスプーン1杯のアマニオイルか、5グラムのローストアマニを摂ると、20日目で、体調の変化ありが54%(変化なし9%)。内容は、肌の改善32%、排便の改善60%、その他12%(日本製粉アマニモニター・アンケートより)。
日本製粉ホームページ http://amani-nippn.jp/
オリンパスE−3 ズイコーレジタル14-54ミリ

close
mail ishiguro kenji