第47回 マクロビオティックってなに? 松本光司先生に聞く その2
7月10日号
江戸時代の庶民の食生活は、朝=炊きたてご飯にみそ汁。昼=冷や飯に魚か野菜。夕=茶漬けに漬けもの。(朝日新聞による)現代から見れば、とても粗末なものだったようです。三食のうち一番豪華? なのが昼食とは、ドイツ人みたいです。現代の私たちのように、昼はかけそば一杯だが、夕食は海の幸山の幸に酒の幸、に較べて、大きな違いに驚きます。ねる前に胃に負担を掛けない健康法だったのでしょうか。
 マクロビオテックの考え方に近いかも知れません。マクロの基本食は玄米とみそ汁とごま塩で、日本人が昔からなじんできた食生活だといいます。この組み合わせは、栄養学的にも申し分なく、続けると体調が良くなり、心が穏やかになる。反対に肉類を摂っていると、激しく、攻撃的になる。ときくと、戦争好きなどこやらの国の大統領にぜひマクロを勧めたくなりますね。
 まず身土不二。からだと土は切り離せないということ。自分の住む近くの土地から、収穫の季節にとれた、旬のものを食べよう、養殖ものや温室もの、輸入ものばかりでは駄目。夏に獲れるトマトやキュウリ、ナスなどは体を冷やす性質があるから暑い時期に食べると良い。逆に冬に獲れるかぶやゴボウ、人参などの根菜類、キャベツ、白菜などの葉菜の多くは、体を温める働きがある。
 かって、作家の深沢七郎氏を取材したとき、寒いころでしたが、昼食の弁当にナスの浅漬けが入っていて、烈火のごとく怒り出されて驚いたことを思い出しました。何で冬にナスがあるんだ! というわけだったのです。
 次に一物全体。皮も根も丸ごと食べよう、ということ。果物なら皮も種も、米なら玄米で。粉なら全粒粉を。穀類は発芽して子孫を生み育てるほど生命力のかたまりです。精白して良いところを捨てるのは愚かです。またキャベツなどの芯は、食物繊維の宝庫ですから薄く切って食べると良い。
 松本先生は、肉類を食べません。魚はたまに食べますが、赤身を避けます。理由は血がどろどろになるから、といいます。卵も同じ。砂糖も血液を汚していく。
 基本は穀物です。特に玄米は完全栄養食に近い。カルシュウムが多くマグネシュウムが少ない欠点は、みそ汁が補う。
「伊勢神宮の外宮は、豊受大神を祀っています。五穀の神です。昔から米を玄米で食べてきたのは日本人だけです」。
 「人間の歯は全部で32本。臼歯が20本、切歯が8本、犬歯が4本です。犬歯は肉や魚を食いちぎるため、切歯は野菜や海藻を切るため、そして8分の5を占める臼歯は、穀類をすりつぶすように発達したものです。つまり、人類はこの割合で食物を摂取してきたわけです」。
現代人の抱える病気、未病、たとえば肥満や便秘、肌荒れ、肩こりなど健康上の悩みのある方は、玄米または発芽玄米を中心に、歯の割合で食事を試したらいかがでしょうか。

写真 松本光司先生(ワッハッハ料理教室にて)この日の献立は、黒米のごはん、高野豆腐のはさみ揚げ、大豆たんぱくの葛あんかけ、かんぴょうとネギのみそ汁、デザートは黒糖のくず餅。

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