第42回 ワッハッハは神の声 マクロビオティックの極意
4月10日号
 「ワッハッハ・ベジタリアン料理教室」。これが木澤智乃(ちあき)さんの教室の名前である。ここで習うのは、愉快で笑いたくなるような料理なのか? 答えはその通りなのだが、その前にご報告が1つ。昨年12月25日号で、オリーブオイルの朝倉さんが、南イタリアの自分の農場製の「手前ミソ」のアサクラ・オイルが間もなく届く、とご紹介したが、今年1月末、無事輸入されて試食の機会があった。
 瓶の底にわずかに濁りがある。青臭い香りがし、食べるとかすかにエグ味がある。しかし、うまい。なるほど。これが無農薬、無肥料の野性の味なのか。
 驚いた。眼からうろこだった。うまく言えないのだが、食べるということが、外からではなく、自分のうちから感じられるような。大げさに言えば食べることが愉快で、ほくほくと、体から温かいものが沸いてくる。そんな気がした。(残念ながらアサクラオイルは即時売り切れで、来年の1月まで1本もない)。
 その朝倉さんが、料理教室のゲスト講師をするというので同行したのが、今回の「ワッハッハ・ベジタリアン料理教室」なのである。
この日は、カムット(古代小麦)のリガトーニ。トマトソースにはもちろん朝倉さん輸入の粗絞りのオルチョ・サンニータを使う。
 生徒さんの主婦たちは、みんな愉快に笑っている。赤ちゃんを抱いた若いお母さんは、ほっぺたをつついて「初めて食べたパスタがこんな美味しいとは、この子はしあわせ!」などと感激している。
主宰者の智乃さんは、学生のころ当時雑誌の編集者だった木澤さんと結婚した。1980年にパリへ渡り、夫と共に日本風中華レストランを開く。そのパリで、マクロビオティックを知った。1986年、帰国して誕生した娘がアトピーで悩んだが、マクロの食事を実行して完治し、マクロ(大きな)バイオ(人生の)ティック(技術)の正しさを再確認した。
ワッハッハの料理は、原則として牛、豚、鶏など肉類、卵もチーズなどの乳製品も使わない。砂糖も使わない。日本人の食事の基本は玄米とみそ汁とごま塩であるという、マクロビオティックの考え方を守っている。しかし「ベジタリアンのミュージシャンが、ステージに向かうとき、瞬発力を出したいため肉を食べることもある」と智乃さんはいう。「これを食べるとこうなる、ということを知ること。自分がどんな状態かを知ること」。
 智乃流の食事は、自由自在でワッハッハ、と言うことらしい。

写真 「ワッハッハ・ベジタリアン料理教室」(03-4500-7963)主宰の木澤智乃さん(右)と愉快に笑いあう「アサクラ・オイル」の朝倉玲子さん(左)
オリンパスEー330 ズイコーデジタル24‐54ミリ

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