第18回 アキバメイド通り 侘び,寂び,萌えは日本人の3大美意識か
3月25日号
 今号のタイトルはごらんの通り。意味がおわかりの方ももちろんいらっしゃると思いますが、そんなあなたは相当のオタクですね。大多数の意味不明?の方のために、語句の解説から始めましょう。という筆者もにわか仕込みの付け焼き刃ですが。
 先ず「アキバ」。秋葉原はアキハバラと読む、アキバハラではないとおっしゃる方へ。この地はもと秋葉(アキバ)神社のあったところなので、アキバでも良いという説もあるらしい。つぎに「萌え」。語源は1993年ごろのNHKのアニメ「恐竜惑星」のヒロイン『萌』からきている説。おなじころ「美少女戦士セーラームーン」の『土萌ほたる』説、「燃える」の誤変換説などいろいろだが、「架空のキャラクターに対す愛情表現」のオタク特有の言葉とされる。2005年に『萌え〜』は流行語大賞のトップテンに入ってメジャーになった。名詞なのか形容詞なのか、日本語としては確かにおかしいが、燃える激しさとは違うモヤっとした感情の芽生えを表すらしい。ベネチアの国際建築展の日本館のカタログでは、「侘び」「寂び」と共に「萌え」は日本特有の美意識であると紹介された。
 浜銀の調査(2003年)によると『萌え』関連のゲーム、本、映像の市場規模は880億円になるという。
秋葉原が電気街からオタク街へと変貌していく中で、オタク向けのメイド喫茶が登場した。(ついでにいまや世界語になったオタクとは、アキバに集まる若者たちがお互いをオタクと呼ぶことから、1983年、中森明夫が初めて使ったといわれる)。  2005年、秋葉原はJR駅を中心に劇的に変わった。総武線、山手線、京浜東北線、東京メトロに加え、8月につくばエキスプレスが開通した。9月には「ヨドバシAkiba」が開店、その広大な売り場は来客の度肝を抜いた。フロアの片側に立つと、向こうがかすんで見えるほどで日本離れした風景だ。さらに、2006年3月には旧神田市場跡に「秋葉原クロスフィールド」ビルが完成し、一部レストランが開業している。
   オタクは暗い、さえないイメージが強かったが、2005年、「電車男」の出版と映画化で、たちまちメジャーになった。それと共に隠微な存在だったメイド喫茶も、いまではすっかりアキバ名物となって、全国から「電車男のロケの店に一度行ってご主人さま、お嬢さまと呼ばれたい」老若男女(子供連れもいる!)が行列を組むありさま。  最近では日陰の花だったメイドたちが、ついにメインストリートに出てきた。中央通りはいまや世界にも類のない架空の癒しのアミューズメント、萌えストリートとなった。

休日の中央通りはメイド喫茶の宣伝やアイドルの卵たちのアピールの場なのだ。

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