第15回  St.バレンタイン チョコレートはいくつ?
2月10日号
2月14日を前に、チョコレートはいくつくるかとワクワクのAさん。一つも貰えないかも知れないと早くも傷ついているBくん。こんな風習はけしからん!とお怒りのC氏。 一方、手作りチョコレートに挑戦のX嬢。今年は義理チョコいくつ?予算はいくら?と憂鬱なYさん。誰にもあげるもんかとふてくされのZ女史。・・・今回はすべての方と一緒に、バレンタインデーについて話しましょう。
 3世紀のローマ。皇帝クラウディウス2世は若者たちが兵士になりたがらないことに困り果てていた。これは彼らが恋人や家族から離れるのを嫌っていると考えて、その原因つまり結婚を禁止してしまった。(なにやらいまの日本と逆のようで似ているような感じもするのはなぜだろう)。このとき教司祭のバレンチーノは兵士たちと恋する娘たちに同情して、こっそり結婚させていた。怒りを買ったバレンチーノは処刑された。その日が2月14日だった。西暦270年のことだという。
ローマから東へバスで1時間、ウンブリア地方の中心地テルニに着く。味気ない新興住宅地を抜けるとテルニの町の教会がある。
「ウンブリアは白ワインと大粒のグリーンオリーブが美味しいところです。中でもテルニは由緒のある古いイタリアらしい町ですが、軍需工場があったので先の大戦の時爆撃を受け破壊されたそうです。しかし教会はこじんまりとした、いかにも田舎町の教会といった風情があります」と語るのは、たびたびこの地を訪れている詩人の片岡由紀子さんである。「1605年、聖バレンチーノの墓の上に建てた教会だそうです。祭壇の前に聖バレンチーノの聖遺体が安置されています。地下には聖バレンチーノ博物館があり、中庭に聖バレンチーノの井戸があって、恋人たちがメッセージを残していきます」
 ところで問題はチョコレートである。バレンタインとどんな関係があるのか? 発案者といわれるモロゾフ株式会社に聞いてみた。「1936年、当時の経営者が欧米では聖バレンタインデーに花束などを贈る習慣があると知って、英字新聞に〈バレンタインデーにはモロゾフのファンシー・チョコレートを〉という広告を出したのがはじまりです」この日から今年は70周年で、モロゾフでは記念セールを行っている。ちなみにモロゾフは年間のチョコレートの売り上げの65%、40億円を売り上げるそうである。
 人気のアイドルには軽トラックいっぱいのチョコレートが届くと言われるが、読者のみなさん、2月14日のあなたは、Aさんですか? X嬢ですか?

写真上 イタリア、テルニの教会には聖バレンタインの聖遺体が安置されている。

写真下 テルニ教会の聖バレンタイン像

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